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NEDO「浮体式洋上風力発電の次世代技術開発委託事業」に採択

 NEDO「浮体式洋上風力発電の次世代技術開発委託事業」に採択されました

~大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証~

 株式会社アルバトロス・テクノロジー(※1 以下「アルバトロス」)、電源開発株式会社(※2 以下「Jパワー」)、東京電力ホールディングス株式会社(※3 以下「東電HD」)、川崎汽船株式会社(※4 以下「川崎汽船」)、住友重機械マリンエンジニアリング株式会社(※5 住友重機械工業株式会社100%出資、以下「SHI-ME」)ら5社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」の実施者公募において「大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証」を共同提案し、実施予定先として採択されました。

再生可能エネルギーを主力電源化するうえで洋上風力発電への期待は高く、特に国内は浅い海が限られるため、浮体式洋上風力の商用化が求められています。

今回の実現性検証では、浮体式洋上風車のゲームチェンジを狙う次世代技術として、風車と浮体が一緒に回転する垂直軸型(浮遊軸型)風車の大型商用機の実現可能性を検証し、基本設計承認取得に向けた設計を行います。大型化した垂直軸型風車は、従来型(水平軸型)風車と同等の効率が得られるほか、浮体部分が小型・低コストとなります。さらに、水深や底質が変わってもほぼ同じ設計で生産できるため、大量導入によるコスト削減も期待されます。

5社は、それぞれの知見を活かして浮遊軸型風車の開発に取り組み、洋上風力発電の主力電源化を目指し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

※1 株式会社アルバトロス・テクノロジー(東京都中央区、代表取締役秋元博路)
※2 電源開発株式会社(東京都中央区、代表取締役社長社長執行役員菅野等)
※3 東京電力ホールディングス株式会社(東京都千代田区、代表執行役社長小早川智明)
※4 川崎汽船株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長社長執行役員明珍幸一)
※5 住友重機械マリンエンジニアリング株式会社(東京都品川区、代表取締役社長宮島康一)

各社の役割

会社名 役割 
アルバトロス 浮遊軸型風車の全体システムの設計
風車材料のカーボンファイバー補強繊維の設計・製造の検討
ライフサイクルコストの検討
Jパワー浮遊軸型風車の大型浮体の認証プロセスの検討 
サプライチェーンの分析・調査 
東電HD 大型機のための数値解析手法の確立 
川崎汽船設置および保守・運転維持コスト低減の研究 
ライフサイクルコストの検討 
SHI-ME大型機のための設計技術及び生産技術の研究 

再委託先)
福井ファイバーテック株式会社:FRP連続成形の技術開発
革新複合材料研究開発センターICC(金沢工業大学):FRP連続組立の技術開発
株式会社ジーエイチクラフト:複合材料の高強度軽量設計
ケイライン・ウインド・サービス株式会社:船舶による洋上風力関連作業の検証
大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻:浮体運動特性の解析
中部大学:落雷対策
東京大学大学院工学系研究科:CO2排出および経済性のライフサイクルアセスメント
東京大学生産技術研究所:海洋環境影響の予測


開発背景
再生可能エネルギーを主力電源化するうえで洋上風力発電への期待は高く、特に浅い海が限られる我が国では、浮体式洋上風力の商用化が求められます。

現在の浮体式風車の主流は、陸上風車、着床式洋上風車と同じように、高いタワーの上に水平軸型風車を載せる方式です。そのような構造物を、強風が期待され、波も高くなる海域で直立に保とうとすると、浮体や係留装置が大型で高コストになります。そこで、陸上風車技術の延長ではなく、海からの発想で浮体式風車を再定義します。

本コンセプトは、垂直軸型風車を「回転する円筒浮体」で支えます(図1)。回転主軸を海水に直接浮かべるため「浮遊軸型風車」(Floating Axis Wind Turbine, FAWT, ファウト)と呼びます。風車と浮体は一緒に回転します。

風車を垂直軸型にすると、発電機などの重量物を風車の下に搭載できるため低重心になります。重量物が上に無いので支持構造が軽くなり傾斜も許容できます。適度な傾斜で性能が向上するため、風速に応じて受動的に傾斜させますが、釣りのウキのような起き上がり小法師であるため転覆しません。船舶海洋工学の基礎に立ち返れば、浮体構造物は低重心が望ましく、傾斜・動揺を許容した方が低コストです。また、重量物は浮かべて動かす(回転させる)方が自然な発想です。

運用メリット
(生産効率・コスト)
大型化した垂直軸型風車は、従来型(水平軸型)風車と同等の効率が得られます。垂直軸型は性能が低いと誤解されているのは、小型機では、風車ブレードまわりの流れが、層流境界層に近いため剥離・失速しやすく、低性能にとどまるためです。大型機のブレードは、発達した乱流速度境界層により失速しません。

FAWTの風車は水平軸型とほぼ同規模ですが、浮体部分が小型・低コストです。波の力を受けにくい浮体形状、強風に耐えやすい両持ち梁支持の風車ブレードにより、設備コストの上昇を抑えながら沖合に展開します。水深や底質が変わってもほぼ同じ設計で建造できるため、大量導入によるコスト削減を見込みます。

(サプライチェーン強靱化と国産化促進)
日本の風力産業は、欧州起点の長いサプライチェーンの末端にあるため、常に調達リスクにさらされます。これを解消するため、国産に適した設計を追求し、製造方法・サプライチェーンも一緒に開発します。風車ローターは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の連続成形(図3)により、小さな工場面積で、自動化 / 省人化します。これにより、土地・人件費が高い日本でもコスト競争力のある風車が作れます。発電機は、例えば、1MW発電機を15基搭載して15MW風車を構成します。これにより日本製の小さな発電機サイズでも大型風車を実現します。

(大量導入)
政府の洋上風力導入目標を実現するには、15MW風車を3日ごとに1基設置する生産性が求められます。これを実現するため、単純構造の円筒浮体を、造船ドック外のヤードで連続・並列製造します。小・中規模の造船所、鉄工所でも生産可能なプランを検討します。

またFAWTは、大型陸上クレーン・大型作業船を使わずに組立・設置できるため、設置工費と工期が削減されます。基地港湾の地耐力と占用面積の要求も大幅に削減されます。

(安全基準認証・標準化)
新コンセプトであるため、安全基準を認証機関と協力して策定し、この形式の標準化を目指します。

(新しい金融スキーム)
着床式風車は、事業終了とともに廃棄されますが、浮体式風車は船舶であるため、移設して使い続ける余地があります。事業途中で浮体式風車を売却し、経済性が向上した新機種に入れ替えられるので、中古市場、売買仲介、リースなどの船舶金融が浮体式風車にも発生します。多様なプレーヤーによるリスクシェア、価格と調達の安定化が大量導入を促進します。

関連する進行中のプロジェクト
FAWTの小型海上実験のための共同研究が進行中です(※1)。これは、参加企業の自己負担による開発で、20kW級の小型風車を2025年度に長崎県壱岐市の静穏な湾内に浮かべる予定です。本コンセプトの縮小モデルによる海上実験であり、詳細設計と安全基準認証への対応が進行中です。

アルバトロス単独では、NEDO助成により「回転円筒浮体で垂直軸型風車を支持する低コスト浮体式洋上風車の開発」(※2)を2024年9月まで実施中です。

(※1)「浮体式洋上風車開発のアルバトロス・テクノロジー、Jパワー / 東電HD / 中部電力 / 川崎汽船との共同研究契約を締結 」
PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000106573.html

(※2)2022年度第2回「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」 採択テーマ一覧
参考資料 PDF https://www.nedo.go.jp/content/100953949.pdf


採用情報

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会社概要

会社名:株式会社アルバトロス・テクノロジー
代表取締役:秋元博路
所在地:東京都中央区日本橋人形町2-12-5
設立:2012年に合同会社として設立、2022年7月に株式会社化
事業内容:海洋再生可能エネルギーの利用に関する技術開発
コーポレートサイト:https://www.albatross-technology.com/

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